365フィルム・プロダクションズ『フェーンチャン ぼくの恋人』

フェーンチャン ぼくの恋人 [DVD]
 

 大阪アジアン映画祭、13本目はシネ・ヌーヴォにてタイ映画特集の一本『フェーンチャン ぼくの恋人』。2003年の旧作で、日本でも05年に劇場公開されている。6人の共同監督というスタイルで、GHT社結成のきっかけとなった作品であるようだ。
 主人公のジアップは母から知人の結婚式の知らせを受け、予定を変更して帰郷することに決める。新婦は幼なじみのノイナー、転校してしまった初恋の相手だった。
 成長したジアップが昔の思い出を振り返る形で物語は進む。ジアップとノイナーは一軒隔てた隣同士に生まれ、床屋の父親は同業者どうし仲が良くないが、母親たちは親友という環境で育つ。二人は一番の遊び仲間だったが、小学校の友達に「女とばかり遊んで」とのけ者にされたジアップは、男子のグループに入るためノイナーに邪険にするようになる。
 一つ一つのエピソードはちょっと長く感じたが、子役がこまっしゃくれた感じがなくてかわいいのでさわやかな印象。しかし、タイの子供もこうしてジェンダー規範の中で大人になってゆくのか。
 お隣の雑貨屋が久々に帰省するとセブンイレブンに変貌していたり、故郷がすっかり様変わりしてしまうというテーマの中、幼なじみだけは当時と同じ笑顔を向けてくれるというのは、ほとんどファンタジーだけれど、普遍的なインパクトはある。
 ノイナー役のフォーカス・ジラクンは、同じ特集で上映されている2008年の『夏休み ハートはドキドキ!』(蒼井そらも出演している)にも出演しているそうだが、近影を検索してみると10年前の清楚な雰囲気のまま成長しているようだ。日本にも留学の経験があるそうだが、そのうち合作映画で顔を見ることもあるだろうか?

原題:แฟนฉัน
英題:My Girl
製作年:2003
制作国:タイ
時間:111分
言語:タイ語
プロデューサー:ジラ・マリグン(Jira Maligool)、ヨンユット・トーンゴーントゥン(Yongyoot Thongkongtoon)、プラサルー・ウィワッタナーノンポン(Prasert Wiwattananonpong)
監督:コムグリット・ドゥリーウィモン(Komgrit Triwimol)、ウィッタヤー・トーンユーヨン(Witthaya Thongyooyong)、ニティワット・タラートン(Nithiwat Tharathorn)、ソンヨット・スックマークアナン(Songyos Sugmakanan)、アディソーン・ドゥリーシリカセーム(Adisorn Trisirikasem)、ウイッチャー・ゴージウ(Vitcha Gojiew)
脚本:ソンヨット・スックマークアナン
出演:チャーリー・タライラット(Charlie Trairat)、フォーカス・ジーラグン(Focus Jirakul)、チャルームポン・ティカマポーンティラウォン(Chaleumpol Tikumpornteerawong)、チャイン・チットソムブーン(Charwin Jitsomboon)、プリーチャ・チャナパイ(レック・カラバオ/Preecha Chanapai/Lek Carabao
音楽:アマラポーン・メータクナウット(Aummaraporn Methakhunawut)
撮影:ソンヨット・スックマークアナン
編集:ニティワット・タラートン(Nithiwat Tharathorn)