瀧本智行『脳男』

脳男 [Blu-ray]

　シネプレックス幕張で『脳男』（公式サイト）。二階堂ふみ目当てで観に行ったけれど、よく見たら『ヒミズ』コンビの染谷将太も出ていた。
　横顔のくっきりした俳優を集めたキャスティングで、陰影を強調した撮影にうっとりする。何を考えているのか表情の読めない役どころの生田斗真が、『サテリコン』のジトーネのように美しく撮られていた。
　人間離れした知能と運動能力の持ち主という人物設定によって、どうしてそんな行動が可能なのかという説明の手間を省いていたり、ファッションやメイクにはずいぶん気を遣っていそうな松雪泰子演じる精神科医がなぜかバッグは何日も同じものを持ち歩いていたりとか、後になって考えてみると色々と突っ込み所はあるけれど、見ている間は気にならなかった。
　いくつもの爆発シーン（どんな話だか知らずに見たので、最初にバスが爆破される場面では本当に驚いて椅子から跳び上がってしまった）の派手さや、二階堂ふみと太田莉菜の人物造形がケレン味たっぷりで楽しい。途中でだいたい物語の終着点は見えてしまうし、細部を注意深く観察していないと話がわからなくなるような映画ではないので、視覚と聴覚の刺激に身を委ねて堪能した。

英題：The Brain Man
製作年：２０１３
制作国：日本
時間：１２５分
言語：日本語
制作総指揮：城朋子
プロデューサー：藤本鈴子、由里敬三、藤島ジュリー景子、市川南、藤門浩之、伊藤和明、入江祥雄、松田陽三、宮本直人
監督：瀧本智行
原作： 首藤瓜於『脳男』
脚本：真辺克彦、成島出
出演：生田斗真、松雪泰子、江口洋介、二階堂ふみ、太田莉菜、大和田健介、染谷将太、光石研、甲本雅裕、小澤征悦、石橋蓮司、夏八木勲
編集：高橋信之
音楽：今堀恒雄
撮影：栗田豊通
照明：鈴木秀幸