リサ・インモルディーノ・ヴリーランド『DIANA VREELAND ダイアナ・ヴリーランド―伝説のファッショニスタ―』

 シネプレックス幕張にてリサ・インモルディーノ・ヴリーランド『DIANA VREELAND ダイアナ・ヴリーランド―伝説のファッショニスタ―』(公式サイト)。監督はダイアナの孫の配偶者である由。
 ヴリーランドの名前は山崎まどか『女子とニューヨーク』(メディア総合研究所、2012)で知って、どんな人だろうと映画を観に行った。ハーパース・バザー、ついでヴォーグの編集者を務めた後はメトロポリタン美術館で衣装研究所の顧問として展示を企画したという彼女の数々の仕事が、八〇代でのインタビュー映像を交えつつ紹介される。
 まかり間違っても彼女と一緒に仕事をしたいとかお友達になりたいとは思わないが(脱いだコートを投げつけられ、「もう沢山」と咄嗟に投げ返したアシスタントのエピソードはお見事)、iPodか何かのようにスライド式に紹介される紙面はうっとりするほど美しい。バーブラ・ストライサンドの鼻をネフェルティティに見立てて撮影したプロフィールや、一目見たら忘れられない強烈なルックスのモデル、ペネロープ・トゥリーの起用(ルネ・ラルーの『ファンタスティック・プラネット』にボッティチェリの女の夢見る瞳をはめこんでつけまつげで彩ったような)など、平均値から外れた部分を思い切り強調して、それこそが「美」だと読者の目の前にたたきつけるような写真の数々。「ロシア顔」のローレン・バコールの美貌は誰もが知るところだろうが、60年代のシェールのかわいらしさは驚き。
 家庭について語ることは拒んでいたが、夫については、結婚後四〇年以上経っても彼に対して「Slightly shy」だというのは好感が持てた。
 ところで、ヴォーグの日本特集でヴェルーシュカの相手役をつとめた身長二メートルという日本人男性、力士だったそうだが、誰なのだろう?当時は日本でも話題になったのだろうか。

女子とニューヨーク

女子とニューヨーク

 

原題:Diana Vreeland: The Eye Has to Travel
製作年:2011
制作国:アメリ
時間:86分
言語:英語
プロデューサー:リサ・インモルディーノ・ヴリーランド(Lisa Immordino Vreeland)
監督:リサ・インモルディーノ・ヴリーランド、Bent-Jorgen Perlmutt、Frédéric Tcheng
出演:Diana Vreeland、Philippe De Montebello
音楽:Paul Cantelon
編集:Bent-Jorgen Perlmutt、Frédéric Tcheng
撮影:Cristobal Zanartu