クリストファー・ランドン『ザ・スイッチ』(Freaky、2020)

序盤はオーソドックスなスラッシャーかと思わせてコメディに。ボディ・ホラーの変種というか、少女が殺人鬼に刺されて肉体を乗っ取られる設定は、『キャット・ピープル』の系譜に位置づけられるのかもしれない。

ナイフで刺されて始まる暴走から、返礼に相手の肉体を刺し貫くことで自分の体を取り戻すまでのプロセスに、セックスの寓意を読み取ることはたやすい。ひねりが加わっているのは、乗っ取られて性的魅力を誇示するようになった元の肉体ではなく、中年男の巨体で憧れの少年との恋愛が成就するところ。いや、淫蕩な肉体では恋愛はかなわないのだとすると、別にひねりでもないか?