DVDでゴードン・チャン『画皮 あやかしの恋』(公式サイト)。
聊斎志異の「画皮」に基づいた話ということになっているけれど、女の皮を被った鬼に魅入られた夫を救うべく妻が頑張る話、という部分のみが共通で、あとはほとんど創作と言って良さそうだ。ちなみに、この「画皮」は日本でも森島中良『凩草紙』巻之二に「横河の小聖悪霊を降伏する話」として翻案されている。
内容に関してはまあそういうものか、というところだったが、妖怪の毒に当てられて皮膚と髪の毛が真っ白になるというビジュアルは、白毛女や白髪魔女伝の系譜に連なる中国映画の発想のように思われる。日本映画であれをやるとしたら、お岩さんのように顔が崩れる(あるいは『実録・連合赤軍』でもよいが)過程を映し、さらに鏡に映る自分の姿に驚き恐れるカットが欠かせないのでは。
戚玉武が二枚目半というか、周迅のことが好きでしょうがないのに、つい蠅を舌で捕らえては“噁心!”と罵られるかわいそうな妖怪役を好演。しかし最後にちゃんと彼の見せ場も用意してあって、個人的にはめでたしめでたし。
原題:畫皮
製作年:2008
制作国:シンガポール、中国、香港
時間:103分
言語:中国語
監督:陳嘉上(ゴードン・チャン/Gordon Chan)
脚本:劉浩良(Lau Ho Leung)、鄺文偉(Abe Kwong)、陳嘉上
出演:周迅(ジョウ・シュン/Zhou Xun)、趙薇(ヴィッキー・チャオ/Zhao Wei)、甄子丹(ドニー・イェン/Donnie Yen)、陳坤(チェン・クン/Chen Kun)、孫儷(スン・リー/Sun Li, Betty Sun)、戚玉武(チー・ユーウー/Qi Yuwu)
音楽:藤原いくろう
撮影:黃岳泰(アーサー・ウォン/Arthur Wong)
アクション監督:トン・ワイ(董瑋/Tung Wei)
美術:ビル・ルイ(雷楚雄/Bill Lui)
衣装デザイン:ウー・バオリン(呉宝玲/Bo-Ling Ng)