マイク・フラナガン『サイレンス』(Hush, 2016)

Netflixホラー。ヒロインは林の中で猫と暮らしている中途失聴の作家。それがある夜、家を訪れた殺人鬼との攻防戦を繰り広げることになり……

ろう者の描写がどれくらい米国での現実に即したものなのかは不明。ろう者どうしの会話のシーンは出て来ないし、ろう文化の描写も見られない。近所の友人(手話学習中の聴者)と妹(聴者)に対しては、英語の口の形に合わせて手話を使っていたので、日本語対応手話の英語版のような言語だろうか。13歳の時に聴覚を失ったという設定なのは、「孤独な無音の世界にとり残された」というホラーにしたかったためかもしれない。

マスクを外すと意外に普通な顔の殺人鬼に拍子抜け。そして猫はというと、自分のせいでご主人さまが命の危機にさらされていることなど我関せずという顔で、平然と殺人鬼に撫でられたりしている。飼い主はお猫さまの主人ではなく奴隷なので仕方ないか。